チョコレート嚢腫 の癌化率は 0.7-0.8 % と推定されてきましたが、これまで大規模調査は行われていませんでした。 日本産科婦人科学会の調査では、卵巣チョコレート嚢胞を有する 30 歳代女性の 1.3 % に、 40 歳代女性の 4.1 % に卵巣癌の合併を認めています。

チョコレート嚢胞からの明細胞がんへの変異は20歳代で<10%、30歳代で<20%、40歳代で20%、50歳代になると50%と明細胞腺がんになる可能性が多くなります。従ってチョコレート嚢胞が40歳代で残存している場合は手術を勧めます。

癌化率が約0.7%なので決して高くないように感じますが、卵巣にチョコレート嚢胞を持っていない方は卵巣がんになる頻度がもっと低いので、そういった意味でチョコレート嚢胞は卵巣がんになりやすいと考えられています。

チョコレート嚢胞の癌化を見逃さないコツ 奈良県立医科大学産婦人科 小林 浩 【抄 録】 子宮内膜症は正所子宮内膜類似組織が異所性に発生し、月経のたびに出血することを 特徴とするホルモン依存性の増殖性疾患である。子宮内膜症性嚢胞の癌化は0.72% チョコレート嚢胞の大きさと卵巣がんの関係について調べた研究では10cm未満のチョコレート嚢胞に卵巣がんが見つかった人は7429人中49人、確率にして約0.7%、10cm以上のチョコレート嚢胞の人々の場合では826人中57人、確率にして約7%でした。